Rootkit
SONY BMGが販売した音楽CDに Rootkitを使ったDRM(デジタル著作権管理プログラム)が含まれていることで大問題になっている。
このCDはCDプレーヤで再生する限り普通の音楽CDと変わりないが、PCで再生やリッピングを行うことには制限が加えられる。XCPと呼ばれる一連のプログラムが添付されており、ATRAC3の音楽ファイルを再生するための専用プレーヤがPCにインストールされ、複製を作成する回数を制限するDRMプログラムもインストールされる。この事がインストール時の使用許諾契約に記載されていないだけでなく、セキュリティ上重大な欠陥を有しており、かつアンインストールの手段も提供されていないと言う事で問題になっている。その欠陥が Rootkit という手段を用いて実装されているDRMで、OS (この場合 Windows) の深部に入り込んで自らの存在を巧妙に隠蔽するだけでなく、この機能を悪用するとウィルス、スパイウェア、マルウェアも容易に自分の存在を隠すことができるのだ。実際、これを悪用したトロイの木馬型ウィルスが早速発見されている。
これらの詳細はここを読むといいだろう。この記事が発信された後、SONY BMG は修正パッチの提供、MicrosoftやアンチウィルスベンダーはXCPを悪質なプログラムとして削除する手段を提供すると発表、SONY BMGもCD回収、リコール交換に応じると発表、対象CDは210万枚に及ぶと言う。音楽CDのリコールなんて前代未聞だろう。
この問題のCDは日本では流通しておらず、洋楽ばかりなので輸入盤を購入しない限り XCPに感染することはないというが、何故か感染PC数は日本が一番多く21万台との推計が出ている。
さて、ワタシはこの Rootkit に関する記事を読んだとき「何だこりゃデバイスドライバやカーネルエクステンションの実装技術と同じじゃないか。やろうと思えば MacOS-X や Linux, Unix でも同じことできるんでないかい?」と思い、単なるヨソ(Windows)の問題とは思えなかった。あまりニュースにはなっていないけれど、つい2,3日前に SONY DRM は MacOS-X にもプログラムをインストールする事が分かったと言う。"Starrt.app" というアプリケーションを実行すると、カーネルエクステンション(/システム/ライブラリ/Extensions/)に "PhoenixNub1.kext" と "PhoenixNub12.kext" をインストールするそうだ。今のところ、これらの kext がシステムにどんな影響を与えるのかは不明だ。しかし、MacOS-X でも同じ事ができ同じ問題を起せる可能性はかなり高いと言えそうだ。
ワタシはCDにコピープロテクションを後付けしたような紛い物CD(CCCDやレーベルゲートCDなど)は一切買わない事にしている。コピープロテクションを施したCDは「規格外れ」なのだから、普通のCDプレーヤでの再生には問題無いとは言え、これは今現在の話。将来まで保証されているわけではない。ひどい物になると「全てのCDプレーヤでの再生を保証しているのではない」と、のうのうと言ってのけているCDまである始末。それにワタシのカーステレオのCDプレーヤは MP3 CD 再生対応だったりするので、これで再生できない可能性は極めて高い。
ワタシの音楽を聴くスタイルも昔とは随分変わって、自宅のオーディオセット→カーステレオ→携帯プレーヤ(iPod)になっている。全てにわたって互換性、可搬性があり将来も再生可能なフォーマットとしては規格(レッドブック)準拠のCD以外は無いんだ。規格外れCDは楽曲を(自由な時、自由な形式で)聴く権利を購入した消費者の権利を明確に侵害しているのだから、いいかげん止めにして欲しいものだ。
と言うことで(長い前置きだなぁ)、中島みゆきのニューアルバム「転生」が本日 Amazon より届いた。レーベルは YAMAHAミュージックなのだが、ここも iTMS には楽曲提供していないらしく中島みゆきの曲は全く無い。したがってCDの購入となった。ワタシの場合、何だかんだで未だ iTMS での購入よりCDでの購入の方が圧倒的に多い。
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