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AirMac Expressが壊れたようだ(6)

電源のどこが壊れたんだろう?


 夏休みで時間があることと技術的な興味から、AirMac Expressの電源基盤をちょっと調べてみようと思い、先ずはヒートシンクが貼り付けられていたチップを見てみた。部品を固定しているシリコンゴムを爪で引っ掻いて取り、ヒートシンクを剥がしてみると、

「DM0265R」と書かれたチップが顔を出した。これを調べてみたところ、Fairchild Semiconductor製のスイッチングレギュレータ素子だと分かった。データシートはこちらからダウンロードできる。

 サンプルの回路は、

こうなっていた。交流(AC IN)を整流、平滑して直流化したものをトランスの一次側コイル(巻線)を通してから DM0265R の Drain に繋ぐ。DM0265R が Drain をスイッチング(オン/オフ)すると、トランスの二次側コイルに起電力が生じるので、それを平滑して電源出力とする。出力の電圧を安定化させるためには、フォトカプラを介して Vfb にフィードバックする。トランスに複数の二次側コイルがあれば(または二次側コイルの途中からコードを引き出す等すれば)、複数の電圧の電源を作ることも簡単にできるので、DM0265R 自体の電源も同じようにトランスから取り出して Vcc に供給する。
 Vstr は起動時の電源。電源がオンになったばかりの時は、まだ Vccには電源供給されない。スイッチングが行われるようになって初めてトランスの二次側コイルに起電力が生じるのだから、これは当然のことだ。そこで起動時には Vstrから電源供給を受け、Vcc に繋げた外部キャパシタ(22μF, 25Vの電解コンデンサが使われていた。上の写真だと DM0265R の右隣にある頭が青く塗られているヤツ)を充電する。外部キャパシタの電圧が Vccになるまで充電される(スイッチング動作が開始される)と Vstrからの電源供給を断つという仕組みだそうな。
 大雑把な理解だけど、こんな感じであっているかな。

「DM0265R」のピン配置は以下のとおり。

 これらを元に考えると、電源基盤の大まかなレイアウトはこんな感じになっているのだと思う。+3.3Vの出力はフォトカプラで DM0265R にフィードバックしているので電圧は安定しているが、+5V出力はフィードバックできないので3端子レギュレータをかまして安定化させているのだと思う。

 そこで交流(AC IN)から、どこまで電圧が来ているかをテスターで追ってみた。
 先ず交流(AC IN)は当然来ている。平滑用電解コンデンサには98Vの電圧がかかっていたので、整流・平滑まで問題なさそうだ。電解コンデンサは耐圧400V、耐熱105度と、まぁ一応大丈夫そうなスペックだが、AirMac Express の故障原因の大半がこの電解コンデンサらしい。
 DM0265R の Drain, Vstr にも 98Vがかかっていたが、Vcc の電圧は 0V だった。これでは動作するわけがないね。Vcc に電圧がかからない原因は、やっぱり DM0265R自体が壊れてスイッチングしなくなったということっぽいな。もしくは Vccに繋がっている電解コンデンサが熱でやられて短絡してるとか?それに、この電解コンデンサには起動時だけとは言え、瞬間的には98Vがかかるのでしょ?その耐圧が25Vって・・・

 DM0265R の設計温度は、換気していない状態での連続運転時の周囲温度は50度。動作可能温度は-25〜+85度ということのようだけど、AirMac Express の密閉された狭い筐体内では85度を超えてしまう可能性ってないのかな?そして発熱源の隣に、Vcc の耐圧不足の可能性がある電解コンデンサ。何だか色々とヤバイ設計してる匂いがするのだけど。。。


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