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macOS Sierra では Adobe CS が動作しない件

グラフィック関係の仕事をしている人は Mac使いが多いですからね


 Adobe CS5 や CS6 は macOS Sierraでは動作しないそうですね。原因は Sierra に Java SE 6 がバンドルされなくなった事だとか。ワタシの Mac Pro には嫁さんが仕事の関係で購入した Adobe Photoshop CS 5.1 がインストールされていますので、実際に試してみました。
 Adobe Photoshop CS5.1は「移行アシスタント」で旧環境からコピーされたもので、Sierraでインストールしたものではありません。これを起動させてみると、

こんなダイアログが出て、確かに起動できませんでした。しかし、ワタシが購入した Photoshop Elements 9 は問題なく起動できます。(Photoshop Elements 9 は Photoshop CS5 ベースのはずだが。)

 macOS Sierraにインストールされている Java のバージョンを調べてみたところ、

Java SE 8のようなのですけど、javaコマンドで調べてみると、

$ java -version
java version "1.7.0_51"
Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.7.0_51-b13)
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 24.51-b03, mixed mode)
$ /usr/libexec/java_home -V
Matching Java Virtual Machines (1):
    1.7.0_51, x86_64:	"Java SE 7"	/Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk1.7.0_51.jdk/Contents/Home

/Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk1.7.0_51.jdk/Contents/Home

Java SE 7 しかインストールされていないように見えるのですけどね。何故なんだろう・・・まぁ、これについてはおいおい調べるとしますか。とにかく Java SE 6 がインストールされていない事は確かなようです。

 Java SE 6 は 2013年2月に Oracleによる正式サポートが打ち切られており、Java SE6をバンドルしているMac OS X は El Capitanが最後で、macOS Sierra ではバンドルされなくなりました。これはセキュリティの観点から止むを得ない事と言えましょう。
 一方の Adobe も、CS6からCC(Creative Cloud)に移行してから4年が経っていることから、CS6をサポートし続ける気はなく、CCへの移行を推奨しています。

 ただ、Adobe CS のインストールができない、起動しない件については非公式な回避策があるそうです。実際には Adobe CS は Java SE 6 を使用しておらず、単にインストールや起動時に Java SE 6 がインストール済みかどうかチェックしているに過ぎないそうです。そのチェックも、単にディレクトリが存在するかどうかというザルチェックなんですと。
 このへんの情報はmacOS Sierra (10.12) で Photoshop CS6 / Illustrator CS6 を使うに書かれていますので、ワタシも自分の macOS Sierra で確認してみました。

 方法はリカバリモードで起動して、Rootlessモードを解除してディレクトリを3つ作るだけ。ワタシの macOS Sierra はインストールした直後から Rootlessモードを解除してありますので(自分でオープンソース等をビルドしてインストールすることがあるので、Rootlessモードは邪魔なんです^^;)、ディレクトリを作るだけなので簡単です。

$ ls -l /System/Library/Java    ※この配下のディレクトリをチェックしているそうな
drwxr-xr-x  3 root  wheel  102  8  4 12:21 Extensions
drwxr-xr-x  3 root  wheel  102  7 31 12:16 Support

$ sudo mkdir /System/Library/Java/JavaVirtualMachines
$ sudo mkdir /System/Library/Java/JavaVirtualMachines/1.6.0.jdk
$ sudo mkdir /System/Library/Java/Support/Deploy.bundle

 この後、Adobe Photoshop CS5.1 を起動させてみたところ、確かに正常に起動できるようになりました。Adobe Bridge CS5.1も問題なさそうです。でも、Photoshop全部の機能を調べたわけではありませんし、Adobeの公式アナウンスは動作非保証ですから、あとは自己責任でという事になります。

 さて、ちょっと視点を変えて、Oracle Java と Adobe CS のリリースを時系列に見てみましょう。

2011年2月Oracle が Java SE 6 の公式アップデートは2013年2月で終了とアナウンス
2011年5月20日Adobe CS5.5発売。サブスクリプション制度開始。
2011年7月28日Oracle Java SE 7初回リリース
2012年5月7日Adobe CS6発売。Creative Cloud新設。
2013年2月Java SE 6 の公式アップデート終了

 どう思います?Java の観点からは、Adobe CS6 の製品寿命は1年もないことになりますね。普通ならば最初から Java 7対応していて当然と言えると思います。ですが、Adobeは CS6 を Java 7 に対応させる(アップデートする)のではなく、ユーザを CC(Creative Cloud)に移行させる方策を採りました。高価なソフトウェアなのに、この対応は酷いと思いませんか?
 この結果、バチをかぶるのは高いお金を出して Adobe CS を購入した正規ユーザ達です。
 サポート切れの古いOSでインターネットに接続するなど、セキュリティの事を考えれば危険極まりないことです。仕事でPCを使用している事業者であれば、PCがウィルスに感染したりマルウェアを仕込まれるようなことは、万が一にもあってはなりません。(アンチウィルスソフトや、ファイアウォールがあるから大丈夫などとは思わないこと。)しかし、最新OSにアップグレードすると、仕事で使用する大事なソフトウェアが動作しなくなるのでは仕事にならないので、本末転倒です。現時点での唯一の解は、Adobe CS6 が動作する最後の Mac OS X 10.11 El Capitanを使用し続けることですが、El Capitan とて、いずれはサポートが打ち切られます。高いお金を払って購入した Adobe CS を捨てて CC に移行しなければならない日が必ずやって来ます。Adobe は Apple が El Capitan のサポートを打ち切る(*1)まで CS6 のサポートを続けるくらいの事をしても良いんじゃないでしょうかねぇ?


(*1):とは言え、正式にサポート終了時期をアナウンスしないAppleにも困ったものです。今のところ、リリースされるセキュリティアップデートを見る限り3世代くらい前までのサポートは行われているようだという事くらいしか分からないのですよね。現在もサポートが続いているのは、

  • Mac OS X 10.9(Mavericks)
  • Mac OS X 10.10(Yosemite)
  • Mac OS X 10.11(El Capitan)
  • macOS 10.12(Sierra)

ですかね。(仮に3世代ルールがあるとしたら)Mavericks は、そろそろサポート切れになるのかも。


2016.11.18追記:Adobe CCの動作対象OSからMac OS X 10.9(Mavericks)が外されました。Appleからデベロッパ向けに何らかの通知があったのかは分かりませんが、Mavericks はサポート切れになったか、よほど重大なセキュリティバグでもない限りアップデートされない可能性が高くなったように思えます。


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