Adobe Photoshop/Premiere Elements 2019をmacOS X Catalinaにインストールして使用する方法
Adobeの対応が酷すぎる
MacBook Pro 2017(中古)が新品同様になったこともあり、メインマシンの移行も考慮して現在使用中のアプリ等を MacBook Proへインストールしています。その中で一つ困ったアプリが見つかりました。それがAdobeの Photoshop Elements 2019です。
MacBook Pro 2017 では macOSを最新の10.15.3 Catalinaにしているのですが、これに今まで使用していた Photoshop Elements 2019 をインストールしたところ、写真の編集をするための Photoshop Elements Editor が起動しないという事象が発生しました。具体的にはインストール後にAdobe Photoshop Elements 2019を起動、「写真の編集」をクリックすると『Adobe Photoshop Elements Editorワークスペースを読み込み中...』とのメッセージ表示が延々と続くだけで、一向にPhotoshop Elements 2019 Editorが立ち上がって来ないという現象です。この時、背後ではPhotoshop Elements 2019 Editorが呼び出された直後に落ちてしまっています。実際 Photoshop Elements 2019 Editorを直接起動させてみれば、すぐに終了(落ちて)いると言うことが分かります。
初回起動がこの有り様なので、シリアル番号を入力してアクティベートすることもできません。
本事象についてAdobeのサポートに問い合わせてみた結果、
- Photoshop Elements 2019はCatalinaでの動作をサポートしていないので、macOSをアップグレードせずMojave、またはそれ以前のままにするか、Photoshop Elements 2020へアップグレードすること
- 旧バージョン製品のOSの仕様変更に対する追随や、優待アップグレードなどの対応は行っていない
- 原因や回避策など技術的な事はテクニカルサポートの方へ問い合わせてほしい
との事で、実質ゼロ回答。購入後1年も経たず使用できなくなるのは製品として如何なものか?と思いますよね。電化製品等なら普通1年間は無償修理です。購入後1年以内のユーザに対しては無償のアップグレードパスなどを提供すべきですよね。
これって、新居で使う事を見越して家電を買い替えておいた。古い家では問題なく使えていたが、半年後に新居へ引っ越したら何故か動かなくなったので、メーカーに問い合わせた。そのメーカーのサポートが言うには、新しい家の環境に問題があると考えられる、製品を使い続けたいなら引っ越すのを止めて古い家に戻るか、今年出たての新製品に買い替えろと言っているのに等しいです。こんなこと言われて怒らない人はいないでしょう。
ネットで色々検索してみたのですが、不思議なことに日本語のホームページや質問サイト等で見つかったのは「古いAdobe製品は Catalina での動作をサポートしていないから、macOSのアップデートは慎重に」とか「Catalinaをサポートしている最新のAdobe製品にアップグレードしなさい」と言ったAdobeの主張を後押しする優等生的な内容ばかり。何かおかしい。
Photoshop ElementsはAdobe製品群の中では安価、とは言え1万円以上する製品です。プロシューマ向け製品なら10万円を越える物もあります。それが1年経たず使用できなくなり、その対策品も提供されないというのに、嫌ならOSアップデートするな、最新版を買えと主張しているサイト・人の何と多いことか。
日本語で原因・回避策を解説してくれているサイトが皆無だったため、英語のサイトやサポートフォーラムをあちこち廻ってみることにしました。この問題に気付いてから数日、やっと原因と回避策を見つける事ができました。
原因は、やはりCatalinaで32ビットのサポートが打ち切られた事にありました。Photoshop Elements 2019 Editor自体は64ビットアプリ(*1)なのですが、この中に32ビットのコンポーネントが内包されており、これはアクティベート(シリアル番号によるライセンス認証)処理を行っている部分だとの事のようです。そのため、Mojave等の旧macOS Xでライセンス認証済みの状態からCatalinaにアップデートした場合には何事もなく起動できるが、Catalinaにインストールしてアクティベートしようとすると、その時点で落ちてしまうのです。
これを回避するためには、Catalina上でシリアル番号を設定してPhotoshop Elemets 2019をアクティベートできれば良いことになります。この方法について具体的に解説してくれているフォーラムの記事が以下です。
A Letter to Our Photoshop Elements Users
日本語で解説してくれているサイトが見当たらなかったので、以下にざっと方法を書いておきます。
- Photoshop Elements/Premiere 2019をCatalinaにインストールしておく。
インストーラはこちらからダウンロードできます。
- インターネット接続できる状態にし、Webブラウザを使って以下をダウンロードする。
http://download.macromedia.com/pub/developer/prtk/Adobe_Provisioning_Toolkit_10_0_ALL.dmg
- ダウンロードしたDMGファイルをダブルクリックしてマウントする。
- マウントしたProvisioningToolのAdobe Provisoning Toolkit Enterprise Editionフォルダを開き、adobe_prtkが表示された状態にする。
- ターミナルを起動する。
- ターミナルに"sudo "と入力し、その状態で先のadobe_prtkをターミナルウィンドウにドラッグドロップする。すると以下のような状態になるはず。
% sudo /Volumes/ProvisioningTool/Adobe\ Provisioning\ Toolkit\ Enterprise\ Edition/adobe_prtk
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- まだEnterを叩いてはいけない。上記に続けて、以下を入力する。
- Photoshop Elementsの場合:
--tool=Serialize --serial=1057485858554544585454545 --leid=V7{}PhotoshopElements-2019-Mac-GM --regsuppress=ss
- Premiere Elementsの場合:
--tool=Serialize --serial=11432545254147858451125414 --leid=V7{}PremiereElements-2019-Mac-GM --regsuppress=ss
"--serial="に指定するシリアル番号は自分が購入した製品のシリアル番号を、途中に"-"(ハイフン)を入れず連続した24桁の数値を入力する。入力し終わったらEnterを押下。
- sudoがマシン管理者のパスワードを訊いてくるので、パスワードを入力。
- すると以下のようになるはず。
% sudo /Volumes/ProvisioningTool/Adobe\ Provisioning\ Toolkit\ Enterprise\ Edition/adobe_prtk --tool=Serialize --serial=1057485858554544585454545 --leid=V7{}PhotoshopElements-2019-Mac-GM --regsuppress=ss
Copyright 2018 Adobe Systems Incorporated
All rights reserved.
Return Code = 0
|
Return Codeが0になっていれば成功。
- Photoshop Elements/Premiere 2019アプリを起動して動作確認する。
ターミナルを使ってコマンド入力する必要がありますが、コピペで何とかなるので、そんなに難しくはないでしょう。ウチの場合は、これでPhotoshop Elements 2019 Editorが起動するようになりました。
これによりAdobe Photoshop/Premiere Elements 2019がCatalinaインストール後に起動しない現象の原因は、製品の基本機能とは関係ないライセンス認証処理がCatalina動作条件を満たしていない32ビットコンポーネントだったからと言えます。この程度のアップデートさえ提供しない、回避策の情報公開もしないというAdobeのサポート姿勢には疑問を抱かざるを得ません。
Adobeの公式見解はPhotoshop Elements 2020 および Premiere Elements 2020 と macOS 10.15 Catalina の互換性。
備考(*1):アプリが64ビットか32ビットかは、システム情報の「ソフトウェア」−「アプリケーション」で調べることができます。Adobe Photoshop Elements Editorは64ビットアプリと表示されます。
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