Raspberry Pi 3 Model B はオーバークロック不可?
Raspberry Pi 3 では raspi-config でオーバークロックできなくなっているのですが・・・
Raspberry Pi 3 Model B でも raspi-config にオーバークロックの項目があるのですが、それを選択しても、
こんな具合に、オーバークロックはできないよと言われてしまいます。しかし、実際には以前と同じで "/boot/config" ファイルに記述する方法でオーバークロックができてしまうようです。
試しに、"/boot/config" へ以下のように記述を追加してみました。
#uncomment to overclock the arm. 700 MHz is the default.
#arm_freq=800
arm_freq_min=900
arm_freq=1300
core_freq_min=400
core_freq=500
over_voltage_min=0
over_voltage=5
sdram_freq_min=400
sdram_freq=500
temp_limit=80
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先頭が#(コメント)の行は元々あったもので、その後のが追加した設定です。これでCPUクロックは 1.2GHzだったのが、最低 900MHzから最高1.3GHzの間で可変になるはず。コアクロックやメモリクロックもデフォルト状態から少し高めに上がってくれるはずですが、あまり温度が上がり過ぎて壊れてしまうと困るので、温度の上限を80度に設定。
再起動は問題なく、その後の動作も安定している様子でしたので、これで一日おいて様子を見てみました。負荷は殆どかけていません。
先ずCPUやコアのクロック。
確かにCPUクロックが1.3GHzまで上昇しました。時々900MHz付近まで下がるようですが、すぐに1.3GHzに戻っています。何が原因でクロックダウンしているのかは不明ですが。
コアクロックも設定どおり500MHzに上昇。こちらも時々400MHz以下に下りますが、やはりすぐに500MHzに戻るようです。
次はコアの電圧。CPUのオーバークロックで動作が不安定になる場合に、コア電圧を上げてやる(通称カツ入れ)と動作が安定するようになります。デフォルト状態では 1.3V弱だったところ、1.4V弱に上がりました。当然、消費電力や発熱が多くなりますので、充分な冷却が必要になります。とは言え、現在ケースに付属してきたファンは故障のため取り外して、代わりにCPUヒートシンクを使用しています。
CPUの温度変化。殆ど負荷をかけていないこともあり、42度付近で安定しています。
では、このオーバークロックでどの程度性能が上がるでしょうか?またCPU温度の上限(80度)に達したらクロックや電圧が下がるでしょうか?UNIXbenchで計測してみました。
Benchmark Run: 火 4月 26 2016 19:55:14 - 20:24:41
4 CPUs in system; running 4 parallel copies of tests
Dhrystone 2 using register variables 15600499.7 lps (10.0 s, 7 samples)
Double-Precision Whetstone 3011.8 MWIPS (10.0 s, 7 samples)
Execl Throughput 2231.4 lps (29.8 s, 2 samples)
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks 222336.0 KBps (30.0 s, 2 samples)
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks 62812.5 KBps (30.0 s, 2 samples)
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks 582386.9 KBps (30.0 s, 2 samples)
Pipe Throughput 1154018.7 lps (10.0 s, 7 samples)
Pipe-based Context Switching 152520.8 lps (10.0 s, 7 samples)
Process Creation 4882.5 lps (30.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (1 concurrent) 3945.4 lpm (60.0 s, 2 samples)
Shell Scripts (8 concurrent) 500.0 lpm (60.2 s, 2 samples)
System Call Overhead 2630431.1 lps (10.0 s, 7 samples)
System Benchmarks Index Values BASELINE RESULT INDEX
Dhrystone 2 using register variables 116700.0 15600499.7 1336.8
Double-Precision Whetstone 55.0 3011.8 547.6
Execl Throughput 43.0 2231.4 518.9
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks 3960.0 222336.0 561.5
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks 1655.0 62812.5 379.5
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks 5800.0 582386.9 1004.1
Pipe Throughput 12440.0 1154018.7 927.7
Pipe-based Context Switching 4000.0 152520.8 381.3
Process Creation 126.0 4882.5 387.5
Shell Scripts (1 concurrent) 42.4 3945.4 930.5
Shell Scripts (8 concurrent) 6.0 500.0 833.3
System Call Overhead 15000.0 2630431.1 1753.6
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System Benchmarks Index Score 705.3
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スコアが 775.7から 705.3に低下してしまいました(^^;)。これは UNIXbenchの動作中にCPUクロックが上がり下がりしていて、常時1.3GHzではなかった(平均1GHzと言ったところ)のが原因ではないかと思います。またCPUの温度も最高で78度で、上限の80度には達しませんでした。(以前は80度を越えた。)CPU最高温度のリミットに達しなかったため、CPUの温度によってクロックダウンするのか分かりませんが、何となく上限温度に達する前に自動的にCPUクロックを調整しているような感じがしますね。
という事で、結論としては現在のように上限、下限を設定したオーバークロックでは、あまり性能向上にはならないと考えた方が良さそうです。ならば下限設定しないようにしてみようか?(壊れるかな?)
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