iPod vs SONY HDウォークマン vs HiMDウォークマン
このギョーカイの会社に勤めていながら iPod を知らないなんて・・・
ウチの会社の私と同じ開発グループにいるヤツなんだが、先日私のiPodを見て「何これ?ヘッドフォンがついているから音楽プレーヤみたいだけど???」と聞いて来た。コンピュータ業界で仕事していながら何と遅れているヤツだと少したまげたが、Appleのハードディスク・ミュージックプレーヤである事を説明してやった。
仕事中もヘッドフォンで音楽を聴いているヤツなんで音楽好きだし、ポータブルのCD,MDプレーヤにも興味はあるので、iPodには何千曲も入る事やMacintoshだけでなくWindowsでも問題なく使える事を説明して、思いっきり背中を押しておいた。
そんな話題で周りの何人かで盛り上がったのだが、その時SONYのHDウォークマンNW-HD1やHiMDウォークマンMZ-NH1などに注目している人もいて、やはりSONYブランドの力なのかなぁ?と思った。実際、HDウォークマンなど良く売れているらしい。
売れるからには魅力があるはずだと思うのだが、ざっと見てみたのだが私には売れる理由が良く分からなかった。会社で話した際の私の考えは、
- SONYはATRAC形式しかサポートしていない。MP3やWMAをサポートしていない時点でダメだろう。
(MP3形式はATRAC形式にコンバートする必要あり)
- HiMDの1GB入るMDは専用メディアらしい。入手難かつ高いんじゃないの?
(従来のMDもHiMD形式に再フォーマットすると容量が2倍になるらしいが)
- デザインは高級感あるから1万円台〜2万円台、せいぜい3万円前半なら売れると思う。
(しかし実際は4万円台であって、iPodの方が安いじゃない。)
です。SONYが良くやる悪い癖が出ている製品のような気がしたんだ。それは「優れたものだから他に誰もついてこなくても独自路線で行く」というもの。古いところではVTRのβだったり、最近ではメモリスティックだったり・・・後発なんだからMP3やWMAなど業界標準となっているような形式はサポートして当然だという考えはなかったのかね?パソコン内にリッピング済みのMP3を山ほど持っているユーザに対して「全部ATRAC形式にコンバートしなさい」とは酷い仕様だと思うのだが。
ざっとATRACの技術仕様を読んだのだけど、非可逆圧縮で高圧縮率(1/20ほどになる)でありながら高音質という特徴があるそうだ。単にそのままデジタル圧縮するのではなく、周波数帯域を16に分割して帯域毎に圧縮するのだそうで、こうすると通常の音楽だと情報に局所性が生じるのだ。ホワイトノイズなら全周波数帯域に渡って一定レベルの音が存在するので、いくつの帯域にぶった切っても常に処理すべきデータが全帯域に存在するが、音楽ならこんな事はない。ある時点では特定の帯域のみにデータが存在している事が多いので、こういった局所性や人間の聴力特性を利用して、データが存在しない(極めて少ない)帯域や人間にとって聴き取れない音のデータを間引いてしまったり分解能を下げてデータ量を少なくして高い圧縮率を得るらしいのだ。考え方としてはMP3等と同じと言える。と言うことは、MP3からATRACへ形式変換するという事は内部的には一旦MP3をデコードしてATRACへ再エンコードしているものと想像されますな。よって形式変換にはCDからリッピングするのと同じか、それ以上の処理時間がかかるものと考えられ・・・気が遠くなる・・・
まぁ、これはあくまで私の想像であって実際に使って試したわけではないので、思いっきりハズしている可能性もある。想像が当たっていたとしても、今までCDからMDに録音してから聴いている人や、CDからのリッピングをこれから初めてやる人にとっては大きな問題ではないのだろうな。
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