TU-880
参照:エレキット
ときどき「死ぬ前にもう一度ハンダ付けしたい」なんて思ったりする
のが技術オタの性なのかも。しかし最も手近な材料であるパソコン関係は、回路が複雑化しカスタムLSIだらけ。高集積化のためプリント基板のパターンは細密化して、もはや老眼の素人エンジニアには手に負えません。近くの細かい物は見にくいので、74LS○○なんてぇ物でロジック回路組むのも難しい、トランジスタだって怪しいかも?それなら、真空管でどーだ。
と言うわけで、エレキットの真空管パワーアンプキット TU-880 を買ってしまいました。いやぁ真空管アンプなんて、アマチュア無線でリニアアンプ作っていた大学時代(20年以上昔)以来だね。スピーカー出力は 2.5W×2という可愛いモンですけどね。週末に少しづつ組み立てていきましょうか。
今思えば真空管って実にローテクな物なんだけど、今のパソコンだって基本はあまり変わってなかったりするんですよね。
これが真空管(三極管)の回路図記号。実に物理構造を的確に表現しているんですねぇ。
真空管の原理は、先ずカソードをヒーターで熱すると、カソードの電子の動きが活発になります。真空管の中は、その名のとおり真空なので空気分子による抵抗がないため、動きが活発になった電子はカソードの電極表面から簡単に飛び出してしまいます。カソードの反対側にあるプレートには高いプラスの電圧がかけられていますので、マイナスである電子はプレートの方向に引っ張られます。ところがカソードとプレートの間にはグリッドという網があります。電子はこの網の間をすり抜けてプレートに辿り着こうとするわけですが、ここでグリッドに電圧がかけられるとどうなるでしょう?グリッドにマイナスの電圧がかけられると、電子は跳ね返されてしまってプレートまで到達できる電子が減ってしまいます。マイナス電圧が高ければ高いほどプレートに到達する電子は少なくなります。逆にグリッドにプラスの電圧がかけられると、電子は余計に引っ張られるようになってプレートに到達する電子が増えます。こちらもプラス電圧が高ければ高いほどプレートに到達する電子が増えるわけですね。
と言うことで、グリッドに入れた信号に応じてプレートまで到達する電子の量が増えたり減ったりする事になります。プレートに届く電子の量が増減する、これはすなはちプレートに流れる電流が増えたり減ったりするって事でして、これを信号として取り出すとグリッドに入れた信号よりも大きくなっています。つまり増幅されたってわけね。
また極端な例として、グリッドにでっかいマイナス電圧かけますと完全に電子が跳ね返されてプレートに全く電流が流れなくなりますね。これはスイッチのオフ状態と同じことです。グリッドに電圧をかけないとプレートに電流が流れますから、これをオン状態とすると、これで電子スイッチが作れます。つまり真空管1本で1ビットが表現できるわけで、これを8本集めりゃ1バイトでございます。実は初期のコンピュータは、こうやって真空管で作られていたりするわけです。
真空管と同じ事はトランジスタでもできるわけで、トランジスタによる電子スイッチをいっぱい、いっぱい、い〜っぱい集めて、数億〜数十億個くらい集めて回路を組んだのが今のコンピュータの CPUだと思えば良いわけでして、そう考えりゃ昔からやってる事はあまり変わっていないと言えるのかもしれません。
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